みちていく
みちていく
【監督・脚本】
竹内里紗
【キャスト】
飛田桃子 山田由梨 鶴田理紗 西平せれな
【ストーリー】歳の離れた恋人に身体を噛んでもらうことでしか満たされない陸上部のエースみちる。生真面目で部員たちに疎まれる部長の新田。二人は互いの空虚を埋めあうように、だんだんと近づいていく。
少し前に見た作品です。立教大学卒業制作作品ですが、渋谷のユーロスペースを皮切りに全国で上映されていました。
とりあえずの上映は終わっていますが、2016年4月~めでたくTSUTAYAでセル&レンタルスタートということで!うれしいです!
月の満ち欠けと一体になったストーリー
なんだかとても自然に見れるなあ。というのが第一印象でした。
それはたぶん、少女たちの感情が月の満ち欠けと連動しているから。
たとえば新月の日には心が静かになったり、満月みるとザワザワしたり、三日月には切なくなったり。まあ月に対する感覚っていうのは人それぞれだと思うんだけれど、映画上に”月”っていう指標があると、すごく自然に満ちたり、欠けたり、不安定になったり、できるんだよね。今まで生きてきた感覚が知ってる。
満ちたり、欠けたり、そういうことを繰り返して進んだり逆送したりする少女たちの不安定さが、月のカットで表現されているという発明!
飛田桃子さんがとにかくいい
「なに考えてるのかわかんない人。実際に何も考えてないことも多いけど、モヤモヤと言葉にならないことを考えている」
っていう、むつかしいキャラクター(自分が考えていることを80%くらい言葉に変換できてないかんじ)を、サラッと演じている。
言葉に出来ないことはたくさんあるけど、頭のなかできちんと言葉に変換できたことは、勇気を出して発する。
うじうじもじもじしている面と、自分の気持ちをきちんと語る面。
友達といるときの顔。話し方。恋人といるときの仕種、表情。家族といるときの雰囲気。
人間なら誰しも持ってるいくつもの顔を、細かく細かく演じ分けながら、キャラクターが分離していかない絶妙なバランス。
もちろん脚本も素晴らしいのでしょうが、役者さんのバランス感覚と丁寧さがすごい。
飛田桃子さんに特に惹かれたのですが、それは山田由梨さんをはじめとする主要な役者さんみなさんに言えることです。
作為的に見えるシーンがひとつもなく、独りよがりでもなく、観客に媚びるわけでもなく、、すべてにおいてとてもバランスが良い作品でした。
DVD、レンタルといわず、おうちにほしい!