おもひでぽろぽろ

おもひでぽろぽろ

 
金曜ロードショーでやってた『おもひでぽろぽろ』を見ました。
どえらい感動しましたので、お風呂のなか、携帯で、思わずしたためているわけです。
 
この作品、初めて見たのは小学生だったか中学生だったか。とにかくつまらない、よくわからない映画だと思ったのを覚えています。
当然ですね、主人公が回想する時間を生きていたんだから。
 
今回見ての大発見
「これ、恋愛映画だったんだ!」
 
ヒーローが出てくるのちょいと遅いですが、おもひでぽろぽろは物凄い恋愛映画でした。
 

他者によって、自分の過去を受け入れる物語

このお話で、主人公のタエ子は常に小学5年生の自分を意識しています。「連れてきてしまった」とモノローグで語るように、かなり身近なものとして。
 
のちのタエ子のトラウマとして残っている出来事が多い小学5年生。そのトラウマ一つ一つがタエ子の思考に影響し、行動を形作っています。そして、謎の息苦しさを感じさせる。
 
それを、ただ受け入れて救うのが、トシオです。
トシオは長い小学生のタエ子の語りを聞き、なんでも「カッコイイ!」と受け止める。
小5のタエ子をまるごと受け止めます。タエ子が過去の自分の行動を思い起こし自己嫌悪に陥っていると、「タエ子さんは考え違いをしてるよ」と、反論もします。とにかくタエ子のことを擁護し、受け入れてくれる。
カッコイイ…
 
そんなトシオの言葉がどんどんとしみこんできて、タエ子の心はほどけてゆきます。
笑ったり、泣いたり、=甘えることができるようになってゆく。
子ども時代の、充分に甘えることができなかった気持ちを浄化されて、タエ子はついには子ども時代を過去のものとして、小5の自分と分離することができます。
そしてラストシーンを迎えるわけですが、
 
他者によって自分を受け入れられること。それにより人間的に成長すること。
 
とてもしっとりとした恋愛映画じゃないですか…
子どものときに、なんでもないつまんない駄作だと思っていて良かったです。
こんなこと小学生のときから理解していたくない(笑)
 

ラストはちょっとコワイ

しあわせそうなタエ子とトシオを見て、なんともいえない寂しげな顔をしている子どもタエ子。

露骨にかなしそうなんじゃなくて、無表情のさみしさなのでよけいコワイです…

さよならの話しだから仕方ないのかもしれませんが、”自己が受け入れられた”ってことで、もうちょっと嬉しそうにしててもいいのかな…と思いました。

 

これじゃあ、過去を受け入れて(=清算して)前に進むという行為がちょっと後ろめたくなっちゃう。

ひえーズキズキしてきた。なんでタエ子はあんな顔したんだろう?

 

DVDを手に入れて、もう一度ゆっくり見たいと思います。

子どものころ駄作だと思っていたシリーズで、『海がきこえる』も再度見直したいなあ